毎年、横浜の桜狩りの最後は大岡川の夜桜になります。
 というのも私のような地方の者にとっては、ここからだと日ノ出町(京浜急行)か桜木町(JR京浜東北線)で帰れるからです。
  

 先ずは大岡川プロムナードをぶらり。
 桜川橋のあたりから遡ります。

大岡川プロムナード①   

 川沿いには雪洞が灯されていて、夜桜を見る風情はじゅうぶん。

大岡川プロムナード②   

 宴会船が川を行き来しているのも情趣深い。

宴会船   

 左手に見えるのは都橋商店街。
 2階は雑多な飲食店が並んでいて、川から見ると殺風景な建物ですが、桜とともに見ると風情ありげに見えるから不思議。

左は都橋商店街   

 大岡川の桜は河口の弁天橋から弘明寺まで約3.5km、延々と続く……とのことですが、実際歩いてみると太田橋より先は桜が途切れるところが多く、歩く割には桜の収穫は乏しい。
 とはいえ弘明寺には観音橋の周辺や弘明寺公園など桜の名所があるので、行くとしたら途中を飛ばして電車(京浜急行)に乗ったほうが得策です。

ライトアップされた桜   

 ということで、大岡川の桜の見どころはせいぜい黄金橋まで。
 屋台もそのあたりで終っているし。

桜越しに見る対岸   

 友と一緒なら屋台で一杯やるのも一興ですが、そうすることもなく日ノ出町から帰りました。
        

 夜桜が史跡めぐりの締めとなり

 昨日はソメイヨシノを含む多種類の桜を紹介しましたが、跡見学園にもない、稀有な桜を紹介しましょう。その名も長勝院(ちょうしょういん)ハタザクラ。
 志木市は柏町3丁目の長勝院跡にあります。

長勝院ハタザクラ(二代目)    

 長勝院ハタザクラはヤマザクラの変種で、白い花びらですが、特徴は10輪に1輪ほど、中心から細長い花びら(のようなもの)が伸びています。
 これは雄しべが花弁のように変化したもので、旗状になっているので旗弁(きべん)と呼ばれ、それ故にハタザクラと名づけられています。(図解)

ハタザクラの図解(はたざくら保存会のチラシより) 

 下の写真、中央の花びらがまさにそれ。中心から細長い花びらのようなものがピロ~ンと飛び出しているでしょう。これが旗弁。

花びらにご注目 

 この桜は「櫻の科学」(日本櫻学会編=平成10年9月版)によると、世界にひとつだけの新種とのことで、志木市の天然記念物に指定されました。(推定樹齢400年)

長勝院ハタザクラ(原木)

 この桜が発見された経緯については、「はたざくら保存会」発行のチラシに書かれていますが、長勝院の伝説にまつわるものなので省略します。(詳しくはここを
         

 なおこの旗弁は同じ敷地内に植えられている黄色いウコンザクラ(鬱金桜)でも見られます。
 こちらのほうがわかりやすいかな。
 この花びら(3輪のうちの左端)には2本の旗弁が見られます。

旗弁はウコンザクラ(鬱金桜)にも 

 説明係の人の話では、旗弁のある確率は長勝院ハタザクラが全体の10%に対し、ウコンザクラは約20%だそうです。
 しかしウコンザクラの旗弁はさして注目されない。不思議です。
         
 観るだけが講釈求む奇種ざくら

 坂戸市にある慈眼寺もしだれ桜の名所だそうです。
 行ってみると、幹道(256=片柳川越線)から見えるので、すぐわかります。
 

 慈眼寺は真言宗智山派(空海=弘法大師)の寺院で、安土桃山時代、慶長年間(1600年代と推定)に法印可説和尚によって開かれた、と説明板にあります。

慈眼寺のしだれ桜   

 このしだれ桜は宝暦5年(1755)第10世の隆章和尚が植えたものと考えられ、推定樹齢は262年、樹高15m、幹周り1.7m、坂戸市の天然記念物に指定されている。(説明板)
 しかし古木だけに、幹が老朽化して空洞ができ、存続が危ぶまれているそう。

老木故に突っかい棒が    

 この日(04/05)は開花期間ということもあって、本堂に祀られている仏像の一部が表に公開されていました。ありがたや、ありがたや。

公開中の黄金の仏像   

 同寺院はイベントが多く、本堂や境内でジャズの生演奏が頻繁に開催されるそうです。
 (当方にとっては遠いからなあ)

*  

 お寺の人に教えられて、立ち寄ったのがその先の東坂戸団地。
 前を流れる大谷川沿いが桜並木になっていて、この時期一斉に花を咲かせます。
 これがなかなかのもの。

大谷川の桜並木①   

 大谷川そのものは小さな川で大したことはないのですが、桜が圧巻。

大谷川の桜並木②   

 目黒川も真っ青。こんな桜の密集はここに敵わないだろうね。

大谷川の桜並木③   

 とはいえ辺鄙なところなので、屋台もなく、花見客は近隣の老人ホームぐらい。
 今年も見られてよかったのう。ナンマイダブ(陰の声)。

西谷橋   

 思わぬところに花見の名所があるものです。
 (写真的には慈眼寺よりもこっちがメインになった?)
        

 横丁を曲がれば不意に花灯り

 「大井弁天の森」(ふじみ野市)はわが家から最も近い桜の名所。
 ここは砂川掘用水路というドブ川が流れ、ふだんはなんの変哲もない場所ですが、春になると両岸に植えられた桜が咲くので、このときだけ花見客でにぎわいます。

なんぽのみち①  

 しかし散歩中の某老人は苦々しげにいいます。
 「まったく、ふだんは見向きもしないくせに、このときだけドッとくる。犬の散歩もできないよ」
 まあまあ、ふだんは地味な散歩道(なんぽのみち)が脚光浴びるんだから、大目に見てやろうよ。

なんぽのみち② 

 川っぺりということもあって、桜の枝はみんな川面に向かって垂れている。

枝が川面に垂れるのは向日性だとか   

 これは重力というよりも「向日性」といって、川面に反射した太陽光線の方向に枝が向かうのだそうです。(去年もいった気がする)

満開の桜  

 見どころは氷川橋周辺の桜。
 氷川橋は金網状の手すりで、橋そのものには風情はないけど、それだけに桜を引き立たせる効果があります。

氷川橋  

 これは反対側(上流側)から見たところ。

反対側から見た氷川橋   

 ドブ川にかかる桜の名所としては目黒川(東京都)が有名だけど、こっちのほうが桜が密集して壮観だぞ。(あくまでも個人の意見です)
  

 櫻花人より鴨に見られたし

川面にはカモが… 

 近辺の徘徊には寺社仏閣に寄ることが多いのですが、ときとして民俗資料館のようなところに寄ることもあります。
 ふじみ野市にある上福岡歴史民俗資料館もそのひとつ。
上福岡歴史民俗資料館     
 ここは上福岡地区の歴史、民俗を中心に展示されています。
 昭和30年代の団地の風景や、当時の家電製品などが展示されています。
昭和30年代の家電製品      
 メンコ、野球カードなど、当時の子どもたちの遊具も展示されています。
昭和30年代の遊び道具     
 2階の研修室では数人のグループが伝統的な機織りを実演していました。
 聞いてみると、これは裂(さき)織りというのだそうです。
機織り風景   
 「裂織り?」
 「ええ、布を裂いて撚り合わせて糸にするのです」
 「すると端切れを利用するのですか」
 「端切れを利用することもありますが、新しい生地を裂いて撚ることもあります」
 裂いた布を撚り合わせて糸にする     
 「それをこの機織り機で織るのですね」
 「そうです」
 「大変な作業ですね」
 「でも楽しいですよ」
機織り機     
 機織りの原理は縦糸と横糸の組み合わせですが、模様をつくるにはそれぞれの色の糸を表に出したり裏に隠したりする。
 その理屈はわかるけど、表に出す数多くのポイントをよく正確に把握しているものだなー。
 うーん、説明されてもわからない。
作品     
 また草木染めをやっているグループもあり、その糸を使って織ることもあるといいます。
草木染め       
 「今年の11月、ここで作品展をやりますので、よろしかったら見にきてください」
   
 作品展の知らせを目にしたら行くと思うけど。
    
 誰がために機を織るのか花衣