「小早川家の秋」(1961)は京都伏見の造り酒屋を舞台にした作品です。
 京都の造り酒屋の当主・小早川万兵衛(中村鴈治郎)は最近行き先も告げずにこそこそと出かけることが目立つようになり、長女の文子(新珠三千代)と経営を取り仕切る入り婿の久夫(小林桂樹)夫婦が心配して行方を突き止めると、そこはかつての愛人・佐々木つね(浪花千栄子)の家でした。
小早川家の秋① 
 小早川家には亡くなった長男の未亡人・秋子(原節子)がいて親戚が再婚話を持ってきたり、次女の紀子(司葉子)も婚期を迎えて縁談が持ち込まれるものの、彼女は大学時代の友人で札幌に転勤する寺本(宝田明)に思いを寄せていました。(これは小津映画のパターン)
小早川家の秋② 
 万兵衛はつねとその娘百合子(団令子)との触れあいに、特別な安らぎを感じているようだったが、そこで倒れて亡くなり、葬式の日、紀子は秋子に札幌へ寺本と一緒に行く決心を告げるのでした。
 小早川は「こはやがわ」と読むそうですが、そんなことはどうでもよろしい。
 登場人物も多く、入り組んでいますが、それも大したことではなくて、当主・万兵衛を中心としたパターン化された小津映画です。

 中小企業の経営者は外で女をつくる、というのがその典型。
 これが山田洋次の「寅さんシリーズ」になると、印刷工場のタコ社長(太宰久雄)は女もつくらず、金策に明け暮れる姿が描かれています。
小早川家の秋③ 
 作風の違い、といってしまえばそれまでですが、会社の重役がしょっちゅう銀座に飲みに行ったりして、小津映画では経営者側の苦労が描かれず、「けっこうなご身分」と思うだけで、あまり切実なものは伝わってきません。
 私にとって唯一の見どころは、葬儀のとき木津川に架かる流れ橋が出てくること。
 これは京都の南部に架かる木の橋で欄干がなく、川が増水すると流される構造になっています。
 正式名は「上津屋橋」(こうづやばし)というのですが、流されるので流れ橋。
 友人のブログでもときどき出てきます。生きているうちに一度は見たい。
小早川家の秋④ 
 それがこの映画で見られたのがよかった。
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