「浮草」(1959)は小津作品には珍しく旅芸人の一座を描いた作品です。
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 とある港町に旅回りの駒十郎一座がやってきます。
 駒十郎(中村鴈治郎)は大衆食堂を営むお芳(杉村春子)のもとを訪ね、その昔ふたりがもうけた清(川口浩)を見て目を細めます。清は郵便局に勤めています。
 そして駒十郎はお芳の兄、清にとっては「伯父さん」ということになっていました。

 駒十郎の連れ合いのすみ子(京マチ子)はこれを不審に思い、座員の加代(若尾文子)に清を誘惑するように頼みます。
 純情な清はたちまち加代に夢中。ふたりは恋仲になり、それを知った駒十郎は加代とすみ子を激しく叱責します。



 そんな折ベテランの座員が一座の金を持ち逃げし、さらに客の入りは悪くなった一座は解散することになります。
 清は加代との恋愛を反対する駒十郎に反発するようになり、お芳から駒十郎が実の父親だと打ち明けられても聞く耳を持たず、ふたりは一緒になる決意を固めます。

 「これではどうもならん」
 駒十郎は気が抜けたように駅に行きますが、そこにはすみ子が待っていて、ふたりは車中の人となりました。
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 この作品は不満だらけです。とくにすみ子(京マチ子)の人物像。
 座長の相方として役者としても力があり、経済的にも座長を助けてやったという肝の坐った女かと思ったら、座長から別れを切り出されるとすがりつく。そんなに弱い女だったの?
 少しは「女の意地」を見せてくれ。

 また若いカップルの描き方も紋切り型で、ちっとも面白くない。
 思うに小津安二郎という人は、「女はこんなもの」と決め付けているのではないか。

 今の女性はもっと「自己肯定感」が強いから、ここに出てくる女性にはなんの共感も覚えないでしょう。
 むしろ女性にとっては迷惑千万、そんな風に感じました。

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