今から35年ほど前、名古屋の某ゲイバーを取材したときのこと。

 ショータイムで踊り手(ゲイ)が変わるたびに乱入してくる男がいました。
 坊主頭にいかつい身体つき。相手に合わせて踊るのです。

 店内からはやんやの拍手。しかしこちらは大迷惑。これではうかつに撮れない。
 撮影の許可は得ているのですが、こんな男が写ってたらぶち壊しになるし、「この野郎、なに撮ってんだ!」といわれかねない。(実際、そのスジの男です)

 しかしこの男、踊りはかなり達者で、洋舞のときは軽やかなステップを踏み、日舞の場合は腰つきや指先などがピシリと決まっていて、見事なものです。
 それに絡むのは最初の数分で、すぐ離れる。
 そうか、離れてから撮ればいいのか。
 ということで、なんとか写真は撮れる。そのうち、男が離れるタイミングもわかってきました。

 「おや?」
 何曲目かで、この男が踊り手との離れ際に、相手の着物の袖に紙幣を素早く入れたのを見ました。
 それはほんの一瞬、しかも客からは死角になるので、まったく見えない。
 なんという男だ!
 男は乱入するたびにそれをやっていたのです。
 頭をガーンと殴られた思いでした。

 これが粋というものか。

 こちらが茫然としている間に、男はもう退席していました。引き際も粋でした。
 今回なぜこんな話をしたかというと、チップの渡し方があまりに品のない町長のことが取り沙汰されているからです。
 なんでも女性演歌歌手にチップを渡すときに胸を触ったとか。
 浅ましい!
 あのヤクザ男とはえらい違いだ。
 ちっとはあの男の爪のアカでも煎じて飲んだらどうだ。
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