明大前の「マイルス」を知ったのは、ジャズ喫茶通いして1年以上も経ってからです。

 そのころ私は杉並区の浜田山に住んでいました。
 新宿、渋谷に近かっただけに、しょっちゅうジャズ喫茶通いをしていました。
 井の頭沿線はたまに下車する程度、それも下北沢が多く明大前にはほとんど関心はなかったのです。

 弟が京都からきたので、たまには地元を案内しようと明大前をうろつきました。
 ここは学生街で安い定食屋が多く、それ以外にめぼしいものはなかったのですが、すずらん通りの外れに「マイルス」というジャズ喫茶が目につきました。
 「最近、ジャズに凝ってんねん」
 「ジャズに、か」
 「入ってみよか」
 ということで入りました。

 ドアを開けると、手前右にボックス8席、奥にL字カウンター7席ほどの小さな店です。
 店内はこれまでのジャズ喫茶とは違う雰囲気でした。
 アットホームで客同士が和気藹々としています。みんな常連のようでした。
 私たちに対しても気さくに話しかけてきました。

 私は当時初対面の人間とはあまりなじめなかったのですが、弟の手前、なんとか「東京流」を見せようと、無理して彼らに応対しました。
 なかでもボックス席の奥にいたN君は、とくに馴れ馴れしく私に話しかけてきました。
 (あとで同い年だと知りました)

 「なにが好きなの」
 と聞かれ、Dave Brubeckの「Take Five」と答えたら、「月並みだね」
 初対面でこんなにずけずけいわれたのが、私にとっては新鮮でした。

 この店は私にとって大きな発見でした。
 弟はその翌日京都に帰りましたが、彼を見送ったあと、再び「マイルス」に寄りました。
 彼らも私を覚えていたようで、それいらい店の常連になりました。
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