今回私が特選で採ったのは、
 ①太宰読む大寒の夜の濁り酒……(3)←うち宗匠の並選、〇←私の特選

 太宰というのは、この場合「人間失格」か「斜陽」か。
 大寒の夜に「濁り酒」(どぶ六)を飲むというのが気に入りました。どぶ六というのはあまり高級な酒ではなく、戦後出回った安い酒。太宰治や坂口安吾など戦後焼け跡派の作家がこれを飲んで、文学論を交わしていました。
 これは友人の作だろうなと思ったら、やっぱり。

 宗匠はこれを並選で採った割には意外に辛く、「『濁り酒』は秋の季語です。『大寒』が中七にはさまって季語として効いていません」とのことで、修正句は、
 「大寒や太宰読みゐる夜の酒」

 たしかに「濁り酒」は秋の季語かもしれないけど、「夜の酒」ではあまりに平板で、私は採らなかったと思います。太宰といえば「濁り酒」が繋がるのだから。

 この回の最多得票句は、
 ②水尾残し島影へ消ゆみかん船……(4)←うち宗匠の並選

 他にいい句がなかったので、私もこれに1票を投じましたが、宗匠は並選で採ったにも関わらず、「歌謡曲の『瀬戸の花嫁』を思わせる、ムードだけの句になってしまいました」と辛辣。
 これは当句会のベテランのお姉さまの句です。

 この句からは、小さなみかん船が島の向こうに消えて行く、しかも波の跡を残して、という情景が伝わってきます。「瀬戸の花嫁」とは違うけど、やっぱり説明句かな。
 「ムードだけの句」とは身もフタもない気がしますが。

 たまにはひどい句を、
 ③初春や水天一碧宮古島……(1)←宗匠の並選、
 ④初春や陽明門の衒いかな……(2)〇
 ⑤水仙の新芽の鋭利凍て地割る……(2)

 ③「この句は『水天一碧』で決っています。『水天一碧』とは晴れ渡った海の青と空の青とが一体となり境目がわからなくなることを言います。夏ではない、珍しい正月の明るい宮古島が髣髴されます」と絶賛。

 そんなものかね。私は「水天一碧」という四文字熟語に逃げていると思って採らなかったけど。

 ④はひどい。「衒(てら)い」とは、ひけらかす→さらにいうと、「すぐれた知識・才能があるようにふるまう」(例・奇を衒う)(新明解国語辞典)、つまり「カッコつけ」の意味。
 日光東照宮の「陽明門」のどこに衒う必要があるのか。このご仁、「衒い」の意味がまったくわかってない。というか、この句こそ「奇を衒っている」のではないか。
 これに2票(しかも特選がひとつ)も入るとは、採るほうも採るほう。「衒い」の意味がわかっているのか。

 ⑤はもっとひどい。
 「水仙」→冬、「新芽」→春、「凍て地」→冬、全部季語。こんなデタラメ句に2票も入るなんて信じられない。

 この三句は渓流釣りオヤジの句で、「韓国では雪掻きしないんですか」と質問してきたバカ男です。句歴は私より浅いようですが、他の句会にも出入りして、かなり努力している様子。

 そのためか、「最近上手くなったわね」といわれているのですが、基本的にことばの使い方がわかってない。それでもムードで票が入るのだから、句会はわからない。
 そこが俳句会の面白いところ、という説もありますが……。
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