2015.02.06 今月の出句
 さて2月の句づくりです。
 先月に出された「父と子の絆危ふし虎落笛」の句にヒントを得て、①-a「父と子の絆深まる庭焚火」が浮かびました。火は人の心を繋げる力があるので、火を見ながら父と子が会話して、芋でも焼けば、いっそう仲が深まると考えたからです。

 一方で、今月の兼題は「離」
 最初に、②-a「くたびれし父の綿入れ手離せず」という句が浮かびましたが、どうもリアリティがない。そこで庭焚火から、真逆の②-b「手離さむ父の綿入れ庭焚火」にしました。

 しかし面白くない。
 どの道「庭焚火」を持ってくるのだったら、「父と子の絆」はやめて、①-b「文の束手離すための庭焚火」にしました。昔つき合っていた人との未練を断つために手紙を燃やす心境です。
 しかし説明的すぎるので、①-c「文の束離別せむとや庭焚火」
 それでもインパクトが弱いので、上五と中七を入れ替えて、①「離別せむ文の数々庭焚火」に。
 では残った「父と子の絆」はどうするか。これには凍滝(たきごおり)という季語を使いたくなったので、②-a「父と子の絆深まる凍滝」にしました。
 奥多摩の「払沢(ほっさわ)の滝」は遠くて寒い。それだけに父と子が苦労してそこへ行って滝の結氷を見れば、感激して絆は深まるだろうと考えました。

 しかし何回も口ずさんでいるうち、「父と子の絆」が鼻につき、②-b「凍滝落つる雫(しづく)に耳澄ます」に変えました。
 ところが雫は落ちるものなので「落つる」は余計。そこで、②「凍滝たまの雫に耳澄ます」に。
 「たまの」は「たまたま」の意味と、珠を掛けています。
 雪が降ると雪掻きは必然ですが、銀世界を楽しむにははなはだ無粋な行為。
 そこで、③-a「搔かさぬぞ絵筆とりたる雪景色」
 しかし「搔かさぬ」はいかにも稚拙。そこで③-b「雪搔くなしばし浸らむ別世界」
 しかしこれでは「別世界」が稚拙。そこで「北の国から」も考えたのですが、「冬ソナ」の景色のほうがロマンチックではないかと考え、③「雪搔くな韓流ドラマで見た景色」にしました。
 おでんの季語を使いたかったので、④-a「おでん鍋竹輪麩だけが我にきて」と詠みました。
 竹輪麩(ちくわぶ)とはメリケン粉をこねて竹輪風にしたもので、関西出身の私にはどこが美味いのかさっぱりわからない。(友人にはこれが好きなヤツもいますが)

 「おでんセット」を買ってきて家族で鍋にすると必ずこれが残る。妻も息子も食べない。
 「残しては勿体ないだろう!」
 気色ばんでみたものの、結局私が始末する(食べる)ことになる。いつもこれのくり返し。
 その心境を詠んだのですが、インパクトが弱いので、④-b「竹輪麩も食えよと叱るおでん鍋」

 しかし「食えよと叱る」はいかにも稚拙。そこで④-c「竹輪麩の残るを託つおでん鍋」
 「託(かこ)つ」の代わりに「溢(こぼ)す」「愚痴る」と変えてみたものの、今ひとつしっくりこない。
 ④-d「竹輪麩の残るが哀しおでん鍋」
 これも「哀し」は主観的なことばなのでボツ。そこで④-e「今回も竹輪麩残るおでん鍋」
 しかし「今回も」はつまらない。
 そこで上五にいろんなことばを当てはめてつくったのが④-f「不甲斐なく竹輪麩残るおでん鍋」

 これだと「不甲斐なく」は自分のことなので、「残す」にしなければならない。残すのは家族で、自分は食わされる側。そこを主張したい。
 ということで竹輪麩の身になって、④「甲斐もなく竹輪麩残るおでん鍋」になりました。
 太字の四句が今月の出句です。
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