先週は「日本のベートーベン」といわれた人の作品が実はゴーストライターのつくったものとわかり、騒然となりました。

 その「作曲家」とは佐村河内守氏(50)、全聾(=まったく聞こえない)だそうです。
 「実際に作曲していたのは私です」と告白したのは、桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏(43)。

 そのやり方とは、佐村河内氏がイメージを伝え、それをもとに新垣氏が曲をつくり、それを佐村河内氏が聴いて確認し、楽譜も新垣氏が書き、それを佐村河内氏が「私の作曲です」と発表するというもの。
 これは手柄の上前をはねる行為。徒弟制度ではよくあることです。
 しかもこれでは全聾も疑わしい。事実、新垣氏も「全聾と思ったことはない」といっています。
 これじゃ佐村河内氏はペテンの上塗り。
 我われは「全聾の作曲家」という虚像を礼賛していたことになります。

 ではなぜ新垣氏は今ごろ告白したのか。
 ソチ五輪で高橋大輔選手が使用する曲の真相を知ってもらいたかった、といっていますが、そんなのはカッコづけ。私は金銭の不満だと見ています。
 新垣氏が受け取った報酬は18年間で20曲以上提供して700万円前後。
 一方佐村河内氏はン(?)千万、しかも「日本のベートーベン」としてヒーロー扱い。
 これじゃあ不満が募るのは当然。ついでに全聾ではないこともバラしちゃった。

 ここで今話題になっているのはゴーストライターなる存在。
 タレントの告白本の大半はゴーストが書いているのは出版界の常識。大ていタレントの口述筆記をゴーストがやります。この場合、著者はタレントになります。
 ゴーストが受け取るギャラは、ライターの格によっても違うそうです。

 かくいう私も何度か「やってくれ」と頼まれたことがあります。
 一度などは通販会社の社長が「オレのことを書いてくれ」
 ギャラは一冊分が30万円。
 安いな、と思ったのですが、当時困窮していたので引き受けることにしました。
 この人物は別の人の証言では面白い失敗談がたくさんあるのですが、当人の要望は成功話ばかり。
 「これじゃ自慢話になって、伝記ものとしてはつまらないですよ」といったところ、「じゃあ、いい」と切られました。狭量なヤツ。

 リライトを頼まれたこともあります。
 某漫画週刊誌の風俗欄でした。「11PM」でも有名な風俗レポーターの記事があるのですが、この人の文章というのが下手クソで、まったく面白くない。そこで私がリライトをやりました。
 このときのギャラはふだんの原稿料と同じだったので不満はなかったのですが、もし半額だったらやらなかったかも。
 そう思うと通販会社の社長のゴースト、切られてよかったのかな。

 くだんの佐村河内氏ですが、「私はプロデューサー、作曲したのは新垣氏」といっていれば、なんの問題もなかった。新垣氏に手を噛まれることもなかったし。
 むろんそれでは「日本のベートーベン」の美談にはならないわけで、あんなに売れたかどうかはわかりません。
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