このほどノーベル財団の発表によると、1963年(昭和38)ノーベル文学賞の候補に作家の三島由紀夫(1925~70)氏が入っていたとのこと。
 これは50年の非公開期間が過ぎたからですが、これによると三島由紀夫の「仮面の告白」(1949)、「潮騒」(1954)、「金閣寺」(1956)などは当時から海外でも知られていたそうです。
 ただし1963年の時点では「ほかの日本人候補と比べて優先されるほどの作家性がまだない」と判断され、見送られました。

 当時候補者のなかに4人の日本人がいて、三島以外の3人は川端康成、谷崎潤一郎、西脇順三郎だったとか。川端康成は1968年に受賞しています。

 これに関して、昨年末BSで観た「ドナルド・キーン×瀬戸内寂聴」の対談によると、三島さんはノーベル賞を切望していたそうです。
 ところが川端さんに取られ、非常に口惜しがっていたとか。「三島さんのような方でもジェラシーがあるのかと思ってびっくりしました」(寂聴)
 そしてこうもいいました。「もし三島さんがノーベル賞を受賞していたら、市谷での自決はなかった」
 さらに「川端さんにはノーベル賞の荷が重過ぎました。ノーベル賞をとらなかったら、自殺することはなかった」とも。
 ノーベル賞がふたりの作家を殺したわけです。

 三島さんはともかく、川端さんのノーベル賞受賞には当時の私も不可解でした。
 「古都」「伊豆の踊り子」「雪国」を読みましたが、スタインベック(米)、パステルナーク(ソ連)などに比べるとスケールが小さい。「まさか日本の情緒的なものに惑わされた?」と選考委員の見識を疑いました。
 これには日本の某建設会社の社長がノーベル財団に働きかけたとの噂もありますが……。

 小説としては、金閣寺に火をつけた若い僧侶の心理を克明に描いた「金閣寺」のほうがはるかに優れています。また「禁色」「仮面の告白」は異端の性を鋭く追及しています。
 これをどうとらえるか、議論はありますが、川端作品より三島作品のほうが文学としてのレベルは高いと思いました。

 しかし後にゲイやニューハーフを取材したとき、「禁色」や「仮面の告白」が彼らのバイブル的書物であることを知りました。ノーベル選考委員の方々はそんなところまで知らなかったでしょう。

 余談ですが、毎年日本で騒がれる村上春樹さんがノーベル文学賞を取ることは絶対にありません。私は「ノルウェイの森」を読みましたが、これは単なるエロ小説。
 エロ小説がノーベル文学賞を取ることはありません。
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