今回、私が大通公園を西に進み、南太田くんだりまで徒歩できたのは、以前NHK「日曜美術館」の「出かけよう、日美旅」で知った、横浜オリジナルの焼き物「眞葛焼」(まくずやき)の創始者・宮川香山の足跡を訪ねたかったからです。
それによると、南太田駅から北東方向の小高い丘の上「庚台」(かのえだい)というところに眞葛焼の窯場跡があるとのこと。
日美旅のHPで住所を調べ、それらしきところへ行ったのですが……。
人家の塀に「宮川香山・眞葛焼窯場跡」の解説掲示板があるのみ。
「なんだ、遺構らしきものはないのか」
ガックリきました。
他に宮川香山の足跡といえば、久保山墓地にある香山の墓。
仕方がない、墓に行くか。
細くて急な坂道を上がると、少し広い道に出ました。両側にお寺が建ち並んでいます。久保山坂です。
しばらく歩いて右側に久保山墓地の入口に着きました。
「宮川香山の墓は管理事務所で聞くこと」とあったので管理事務所へいったのですが……。
この日は休日だったため、閉まってました。アチャー。
せっかくきたのだから、墓地の景色でも見ようか。
この久保山墓地は、明治時代の廃仏毀釈によってお寺の用地が没収された折に、すでに建っていた3寺院のお墓を久保山に全て集めた(明治7年=1874)のが始まりとのことで、今は横浜市営墓地です。
総面積12万6213㎡(横浜スタジアム5つ分)、墓の数は2万基を超えるとのことで横浜市最大の墓地です。
久保山というから山ではなかったのか。
しかしここから見る景色は四方八方(後ろを除いて)谷ばかり。つまり山というより谷間に墓がある。
ということは今私がいるところが頂上で、これが久保山なのか。
なんだか荒涼たる思いに駆られました。
墓地特有の霊気?
いやもっと奥深いところから漂ってくる寒々しさのようなもの。
宮川香山の墓は諦めました。
たとえ墓の位置を懇切丁寧に教えられたとしても、二度とくることはないでしょう。