磨崖仏からさらに歩くと、開けたところに出ました。
その一画に展望台があります。
展望台は切り立った断崖(親不知という)の上ですが、上りやすいように石段になっていて、所どころ手すりもついています。展望台には「標高139m」の標識があります。
ちなみに鎌倉の天園(大平山)は159.2m。
西方向に富士山が見えるとのことだったのですが、生憎この日は見えなかった。
「今日は雲がかかってますね。この分じゃ見えないでしょう」
というのは散歩がてら(?)にやってきた地元のおじさん。
当方と同じぐらいの年齢か。話好きな人らしく、
「反対に横須賀湾のほうはよく見えますよ。左は夏島で右は観音崎」
「観音崎は先月行きました」
「おや、行かれましたか。バスでですか」
「いえ、馬堀海岸から歩いて。走水を通って観音崎灯台にも上りました。それどころか浦賀まで歩きましたよ」
「えッ、浦賀まで。それはかなりの健脚ですなあ」
「いや、ただのバカですよ」
「この湾はね、大型客船も見られるんですよ。横浜の大さん橋から出航すると、夏島のほうから1時間近くかかって観音崎のほうへ進む。大てい夕方でね。あらかじめ出航時刻を調べておいて、ここを通るころにくるんです」
「えッ、ここまでですか」
「なーに、散歩ですよ」
ふーむ、こういう散歩なら悪くないな。
おじさんはさらに、
「あっちの湾に赤い船が見えるでしょう。あれは南極観測船『しらせ』です」
「えッ、あれが『しらせ』ですか?」
「そう、南極の氷のなかでも目に付くように船体が赤く塗られているそうですよ」
「なるほど」
前回はここからただ眺めるだけだったけど、今回はいろんな話を聞けて、なかなか面白い。
やはり地元の人とは話してみるものです。