1月1日、アメリカの女性歌手パティ・ペイジさんが亡くなられました。享年85。
 パティ・ペイジさんといえば、なんといっても「テネシーワルツ」(1950)
 私の大好きな曲です。

 この曲を初めて聴いたのは小学校のとき、江利チエミさんのカバーです。
 当時大ヒットしました。江利チエミさんの歌もよかったと思います。

 しかしそのあと、パティ・ペイジさんのオリジナルを聴いたとき、ガーン!
 強い衝撃を受けました。歌唱力がまるで違う。
 低く、艶があって、伸びのある声。
 この一曲で、私のなかから江利チエミさんは吹っ飛んでしまいました。(悪いね)

 「テネシー・ワルツは三角関係の歌だよ」
 高校時代、友人が教えてくれました。
 翻訳すると、主人公(女)が彼とワルツを踊っていたら古い友人とバッタリ会い、彼に紹介したところ、ふたりが踊って意気投合し、自分はフラれてしまったという内容です。
 この歌はテネシー州の州歌になっています。失恋の歌なのに。

 I was dancin' with my darlin' to the Tennessee Waltz,
 When an old friend I happened to see;
 I introduced her to my loved one,
 And while they were dancin',
 My friend stole my sweetheart from me.
 I remember the night and the Tennessee Waltz --
 Now I know just how much I have lost.
 Yes, I lost my little darlin' the night they were playing
 The beautiful Tennessee Waltz.



 よく聴くと、高音も低音も彼女の声。つまり多重録音。当時の彼女はバックコーラスを雇う金がなかったから、といわれていますが、それがかえっていい効果を上げています。
 音楽評論家の萩原健太氏にいわせると、「当時はレコードしか機器はなかったのに、相当難しいことをしている」そうです。

 印象深いのは、ミケランジェロ・アントニオーニ監督「砂丘」(Zabriskie Point =1970)の一シーン。
 アメリカ南部のドライブインで、老人の顔がクローズアップされ、ジュークボックスから流れてくるのがこの曲でした。
 これはイタリア人(アントニオーニ監督)から見た古きアメリカの姿だったのでしょう。

 「パティ・ペイジさん亡くなったね。曲はCDなどで聴けるけど、ご当人が亡くなったのはやはり寂しい。テネシーワルツの歌の意味を教えてくれたのは貴兄だった」
 例の友人にメールを送りました。
 すると、
 「そうだったのか。昨日、カラオケでテネシーワルツを歌ったとこだよ」
 あの野郎、忘れやがって。
 でもテネシーワルツを歌ったのは、ヤツなりに哀悼の意を示したかったのでしょう。
 埼玉と京都から、彼女を偲んで、合掌。
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