今月の俳句をUPしたら早速川越の友からメールがきて、「このところ好調ですね」
 今は別々の句会に通っていますが、彼は俳句の達人で、しかもお世辞などいわない(?)人間だけに、こういわれるとうれしい。
         

 「花水木の句も先生◎くれてもよかったのにねえ」
 
髪切りてダンスホールや花水木
   

 私もこの句は気に入っていますが、宗匠からの特選はまず無理でしょう。「クリフサイド」は誰も知らなかった。

代官坂とトンネル、右端がクリフサイド    

 それでも同郷のおじさんひとり、
 「若い女性が髪を切ってダンスホールに挑む気持ちが花水木に込められている」
 と読み取ってくれました。
 私としてはこれでじゅうぶんです。
    

 横浜のクリフサイドについては、川越の友人は20年ほど前、ここで出版記念パーティーをやったそうです。
 ゲストに桂歌丸さん(横浜出身の落語家)たちがきたものの、客の半分くらいがヤクザみたいな人で、あとで会社から怒られたとか。
 ヤクザはご愛敬ですが、さすが出版人、横浜の有名どころはとっくにご存知。

クリフサイド     

 その彼が好きなのが、すぎもとまさとの「クリフサイドのリリー」
 この歌手は何年か前に『吾亦紅』を歌っていますが、内容がくどくど愚痴っぽい。
 それに比べるとこっちはさびの効いたいい曲です。これぞブルース。
      

 https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC 
         

 なるほどね。いかにも川越の友の好きそうな曲だ。

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 ザ・ワイルドワンズの加瀬邦彦さんが4月21日亡くなられました。
 自宅で死亡しているのを家族が見つけたとのことで、どうやら自殺らしい。癌を患い、療養中だったそうです。享年74。

 ワイルドワンズの「想い出の渚」(1966)は名曲中の名曲。
 私にとってはまさに青春の歌。
葉山・森戸海岸① 
 ♪君を見つけた この渚に ひとりたたずみ 想い出す
 小麦色した 可愛いほほ 忘れはしない いつまでも
 水面(みなも)走る 白い船 長い黒髪 風になびかせ
 波に向かって 叫んで見ても もう帰らない あの夏の日……



 ♪水面走る 白い船 長い黒髪 風になびかせ~
 これだけで湘南の海の景色が浮かんできます。何度口ずさんだことか。
 
 私は若いころ、この曲の舞台が知りたくて湘南一帯をほっつき歩きました。
 初期のころは余所者(関西出身)故の試行錯誤もありました。
 江ノ島、七里ガ浜、鎌倉……どうも違うな。
葉山・森戸海岸② 
 数年経って葉山の森戸海岸へ行ったとき、「ここかな?」
 しかし調べてみると、「一色海岸」説もある。
 一色海岸は同じ葉山でも森戸よりはさらに奥。
 それだけに人は少なく、「辺鄙」という感覚は否めませんが、北は向芝原、南は小磯の岬に挟まれて湾になっており、海水浴場としての雰囲気はあります。
 結局どちらでもいいことにしました。
葉山・一色海岸①
 「想い出の渚」は夏の曲ですが、正確にいうと8月の終わりごろ。
 当ブログでも毎年この時期になると曲と葉山をUPするのですが、こんな早い時期にUPすることになろうとは。残念です。
葉山・一色海岸② 
 ♪長いまつげの 大きな瞳が 僕を見つめて うるんでた
 このまま二人で 空の果てまで 飛んで行きたい 夜だった
 波に向かって 叫んで見ても もう帰らない あの夏の日
 あの夏の日……
夕陽
 加瀬さんのご冥福をお祈りします。
 横浜には「リンデン」「ファースト」をはじめ数多くのジャズ喫茶があります。
 なかでも野毛「ちぐさ」は有名で、日本最古のジャズ喫茶といわれ、デビュー前の渡辺貞夫、秋吉敏子、日野皓正など多くのジャズメンが通っていた店です。

 例の首猛夫も大学(四谷)から逗子の自宅に帰る際、よく立ち寄ったそうです。
 「先日は『ちぐさ』のオヤジとジャズ談義をしてきたよ」

  オヤジとは「ジャズ界にこの人あり」といわれる吉田衛(まもる)さん。そんな伝説的人物と気安く話を……。(その図々しさが首猛夫の持ち味ですが)
 「オヤジは『ジャズは気楽に聴くものだよ。音楽って音を楽しむと書くだろ。これがジャズの真髄だよ』といってたよ」

 私が「ちぐさ」に行ったのは彼が関西に行ってから、ずっと後のことです。
 最初に行ったときは、John Coltraneの「My Favorite Things」をリクエストしました。



 店主(吉田衛さん)はレコードプレイヤーのそばにいましたが、おそれ多くてとても話しかけることはなかったのです。

 二度目は風俗取材のついでに立ち寄りました。店主はすでに亡くなっており、妹さんが継いでいました。
 このときリクエストしたのはMal Waldronの「Left Alone」



 ドラマなどでもよく流れる有名な曲です。
 私自身もその心境でした。

 その「ちぐさ」は2007年をもって閉店しました。
 それから5年後、「ちぐさ」は場所を移して復活しました。
 私が行ったのは野毛大道芸大会の日でした。
野毛「ちぐさ」 
 入ってみると、店内は20人ほど、中高年客ばかり。けっこう混んでます。
 ジャズ喫茶の常として、相席で坐りました。
 夫婦者も3組ほど。なかには大道芸見物の流れらしく、デイバッグにカメラを手にしたご仁も。(当方もそうなのですが)
店内 
 店は以前より少し広く、窓も開いて、明るい感じです。
 雰囲気は似てますが、開放的で以前よりは居心地がいい。コーヒー500円は、高くありません。
メニュー 
 またしても「My Favorite Things」をリクエストしました。
 しかし……。
 曲は同じですが、Coltraneの重厚感がない。これは最初のVillage Vanguard版ではないな。
 ちょっとガックリ。しかも後半ダレる。
 これだったらBud Powell「Cleopatra's Dream」のほうがよかったかな。
 こんなことを迷っているようでは、ジャズ離れの兆候。加齢現象?
珈琲 
 もうくることもないか。
 そう思って「ちぐさ」をあとにしました。
 (完)

 ※このシリーズは、前ブログ「愛と孤独」に投稿した「ジャズ喫茶の思い出」(2010/05/16 ~21)に現在の状況を加えてリメークしたものです。
 私が通い始めた当時「マイルス」は1階にありましたが、やがて2階に移りました。
 私も社会人になり、住まいも浜田山から桜台→国分寺→府中と変わり、家庭を持ったため、ジャズ喫茶へは行かなくなりました。
 府中に移り住んで京王線を利用するようになっても、途中下車することはなかったのです。
 マイルスは私にとって完全に「青春の思い出」でした。

 50をすぎて私の環境が一変しました。原点回帰です。
 「そうだ、久しぶりに行ってやろう」
 明大前で下車しました。
マイルス 
 「あら、しばらくぶりねえ」
 ママは私を覚えていました。
 四半世紀ほどのブランクがあったというのに、まるで昨日別れて今日会ったような口ぶりです。
 当時の常連客についても、「みんな元気よ。そのうち会えるわよ」
 そのことば通り何回か通っているうちに懐かしい面々と再会することができました。牢名主のN君とも。「薄情なヤツだなあ」といわれましたが。

 この店でもう一度聴いてみたい曲がありました。Gabor Szaboの「Wind, Sky And Diamonds」です。
 当時はよくリクエストがかかったものです。ただしジャズ喫茶では異色の曲でした。
 「あれねえ、うちでは今かけないのよ」とママ。
 「でも、たっての望みだからかけてあげる」
 と別のところからレコードを取り出しました。
 それに針を落とし、例の曲が流れました。「…………?」



 聴き覚えはありますが、こんな曲だった?
 なんの感慨もありません。
 聴く前は懐かしさのあまり「思い出ぼろぼろ」になるような気がしたのですが、すっかり拍子抜けしてしまいました。
 そのことをママにいうと、「思い出なんかそんなものよ」
ドアにあった写真 
 現実はドラマのような劇的なことは起こらないものです。
 昔の面々と再会しても、互いに「おッ」「あら」というだけで、手を取り合って涙を流す……なんてことはありません。

 「思い出なんかそんなものよ」
 そのことばを胸のなかで反芻しながら帰途につきました。
 「なじみのジャズバーがあるんだけど、そこで一杯やりません?」
 ジャズピアノをやっている従弟にそういわれました。場所は高田馬場です。
 高田馬場のジャズ喫茶としては「INTRO」が有名ですが、もっと早稲田寄りに「PONY」という店があるというのです。

 なるほど、従弟のいった通り早稲田松竹の向かいの地下に「PONY」というジャズバーがありました。
 雰囲気のある店です。Bud Powell「Cleopatra’s Dream」がかかっていました。

 ベーコンの焼ける匂いにつられ、ベーコン&ポテト炒めと唐揚げを注文しました。けっこう美味い。飲むのはもちろんバーボンです。
 「ここのオヤジは以前新宿にいて、ジャズ喫茶だけじゃなく料理店もやっていたそうです」
 あとでドリアも食べましたが、いい味でした。
早稲田松竹 
 従弟の本職はデザイナーで、ふだんはオーディオメーカーのパッケージデザインをしているのですが、幼少のころからやっていたピアノもなかなかの腕前で、ときどきジャズ喫茶でジャムセッションするほどでした。

 私も何度か行ったことがあります。いつも満員でした。
 「すごい人気だね」
 「くるのは関係者ばっかり。余興ですよ」
 その仲間たちとジャズを聴きながら、一杯やるのがこの店だというのです。

 「しかし変だぞ。さっきかかっていたのはジャズじゃなくて、イブ・モンタンの『枯葉』だったぞ」
 「そうなんですよ。店主の趣向でジャズのスピリッツのあるものならジャンルは問わないんです」

 なるほど、かなり柔軟性のある店らしい。イブ・モンタンだけではなく、フランク・シナトラもかかりました。
 「おや、××さん」
 ひとりの若者が入ってきて、従弟のとなりに腰をおろしました。
 「とうとう買ってきましたよ」と、包みを解きました。出てきたのは志ん生の落語のCD。
 こちらとしては「……?」

 「ジャズと落語には共通点があって、ジャズをやっている人には落語好きが多いんです」
 なるほど、そういえば林家正三(当時はこぶ平)や小朝など、ジャズに造詣の深い落語家が多いのが納得できました。

 さすがに落語はかかりませんでしたが、「目からウロコ」の思いをしました。
 その影響を受けて、私は古今亭志ん生の落語を徹底的に聴きました。

 これは25年も昔のこと。今はもうこの店はありません。